三菱重工業、IHI、川崎重工業の「3重工」が本業消失の危機に直面している。新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅客需要が急減し、民間航空機関連ビジネスが大打撃を受けているのだ。世界的な脱炭素シフトを受け、火力に依存した発電設備事業の先行きも厳しい。抜本的な構造改革を余儀なくされる中、各社は新たな「稼ぎ頭」をどこに見いだしているのか――。特集『三菱重工・IHI・川重 本業消失』では、7月19日(月)から23日(金)までの全5回連載で、3社が繰り出す逆風下の成長戦略に迫った。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
#1 7月19日(月)配信
三菱重工社長、国産ジェット完全凍結は「ない」と断言!大逆境下で成長の青写真を語る
過去に7000億~8000億円を投じてきた国産ジェット旅客機「三菱スペースジェット」の開発活動を事実上凍結する道を選んだ三菱重工業。新たな稼ぎ頭を見いだすべく、今後は“本業”に経営資源を振り分けるが、エネルギー事業や民間航空機事業を取り巻く環境は厳しい。三菱重工は大逆境下でどんな成長の青写真を描いているのか。スペースジェットの開発凍結を決めた張本人である泉澤清次社長に聞いた。
#2 7月20日(火)配信
三菱重工・IHI・川崎重工が航空機と石炭火力で「共倒れ危機」、財務衝撃度を徹底試算
コロナ禍による民間航空機ビジネスの落ち込みは、三菱重工業、IHI、川崎重工業に大打撃をもたらした。さらに石炭火力発電の新設案件も急減し、名門3重工の注力事業が共倒れ危機にひんしている。ここでは財務の観点からダブルパンチの衝撃度を明らかにして、今後の行く末を大胆に占う。
#3 7月21日(水)配信
川崎重工社長が明かす苦境脱却の秘策、「自動PCR検査ロボ」の隠れた狙いとは
民間航空機事業への依存度が高い川崎重工業は、3重工の中で唯一、2021年3月期決算が最終赤字に陥った。次なる成長ドライバーとして期待している事業の一つが、橋本康彦社長の出身母体でもある「ロボット」だ。自動でPCR検査をこなす機体を開発し、空港や自治体での利用を見込んでいるのだが、それには“隠された狙い”があった――。橋本社長がダイヤモンド編集部の取材に応じ、苦境脱却の秘策を明らかにした。
#4 7月22日(木)配信
3重工のエリート序列激変!給料ダウン転職に踏み切れない火力発電エンジニアの悲劇
世界的な脱炭素の潮流を受け、三菱重工業、IHI、川崎重工業の社員を取り巻く転職事情に異変が起きている。それまで会社を支えてきた「火力発電エンジニア」が将来を悲観し、転職に向けてにわかに動きだしたのだ。一方で各社は、新たな成長ドライバーを生み出す人材を確保するべく、電動化やITなどに精通した人材の中途採用に乗り出している。過渡期において、重工メーカーで求められる人材像はどう変わるのか。
#5 7月23日(金)配信
IHI社長に「航空機依存をどうするか」直撃、脱炭素事業は第2の柱になれる?
コロナ禍は日本のジェットエンジン生産の60~70%を担うIHIにも暗い影を落としている。2020年度決算で民間航空機事業の売り上げが半減し、関連セグメントが400億円超の赤字を出してしまったのだ。他事業が踏ん張ったことで全体では黒字を死守したが、民間航空機事業と双璧をなす事業はまだない。勃興する脱炭素事業は“第2の柱”になれるのか、井手博社長を直撃した。
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