新型コロナウイルスの感染拡大によって旅客需要が蒸発し、航空機関連事業という下支えを失った三菱重工業、川崎重工業、IHI。これら「3重工」は、創業100年を優に超えた今にして、何によって稼ぐべき会社なのか自問自答する事態に陥っている。特集『総予測2021』(全79回)#43では、そんな3重工が21年、どこへ向かおうとしているのかを紐解く。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
航空機市場撃沈で被った
想定外かつ強烈な打撃
2020年は、重工業界にシビアな現実を突き付ける年になった。
新型コロナウイルスの感染拡大で航空機市場が撃沈。米ボーイング向けを中心とする民間航空機ティア1(1次下請け)事業や、航空機エンジン事業の収益が大幅に減じたことが大きなきっかけだ。
三菱重工業、川崎重工業、IHIの「3重工」にとって、これら航空機関連事業は業績を下支えする重要な収益基盤となっていただけに、この頼みの綱が切れたネガティブインパクトは甚大だった。
3重工といえば、日本の近代化を支えた名門企業である。それが、創業100年を優に超えた今にして、何によって稼ぐ企業であるべきなのかという「本業」の見直しを検討せざるを得ない状況に立たされている。
では20年、3社は具体的にどう現実と向き合い、21年以降、どこへ向かおうとしているのか。