妻の浮気が原因で離婚。突如、5歳の息子との父子家庭になった。手元に残された全財産は90万円。定時退社で保育園へ息子を迎えに行く毎日で、残業代ゼロ。年収400万円で、カツカツの生活だった。ギリギリの節約生活で、4年で1000万円を貯め、本格的に株式投資を開始。紆余曲折を経ながらも某企業の大株主になり、資産2億円以上を築いた。その投資術を初公開。いま息子へお金と投資の話を伝授する『どん底サラリーマンが株式投資で2億円』。
「配当性向」は
低すぎても高すぎてもダメ
資産2億円を超えてからは、近い将来、リタイアした後の生活を経済的に安定させてくれる手段として配当金(インカムゲイン)が期待できる「配当株」を中心に保有するようになった。
血気盛んな「ハイリスク投資」をしていた頃は、配当株を狙うなんてダメな投資法だと思っていた。
配当金はあくまで株を保有している結果として得られるオマケのようなもので、始めから配当金を狙うのは間違っていると思っていたのだ。
一方、配当金がほしくて長期保有していたわけではないものの、12年間保有し続けたA社は年間100万円ほどの配当金があった。
配当金をきちんと出し続ける銘柄は、配当金狙いの投資家に人気があるので、株価が下がりにくいという利点がある。
さらに配当金を再投資し続けると、複利効果で大きな資産を築く原動力になる。
たとえば、年間配当4%の銘柄を18年に渡って複利で再投資し続けると、原資は2倍になる。原資が1000万円なら2000万円に倍増するのだ。
配当4%を18年間ずっと確保できる保証はないとはいえ、複利が持つパワーは侮れないことがわかる。
こうしたことから「ほっとけ投資」でも一応、「配当性向」と「配当利回り」をチェックしている。
配当性向とは、その期の純利益(税引後利益)から、株主に対してどのくらい配当金を支払っているかを表したもの。
配当利回りは、購入した株価と比べて1年間にどれだけの配当金があるかを示すもの。
これらの数値も「会社名」と「配当性向」「配当利回り」で検索すれば、すぐにわかる。
配当性向の平均は30%ほど。配当金がたくさんもらえる配当性向が高い銘柄ほど歓迎したくなるけれど、「配当性向が悪い=悪い銘柄」とは言い切れない部分もある。
小型株のように、これから成長を志向している銘柄では、純利益を配当金として分配するよりも、未来への投資の原資となる内部留保として貯め込んだほうが得策と判断される。
そのほうが事業は大きく育ち、将来的により多くの利益を生み出す可能性があるからだ。
アメリカの超巨大成長企業GAFAMでも、配当金を出しているのはアップルとマイクロソフトのみ。それも雀の涙のような配当金となっている。
逆説的に言うなら、配当性向があまりに高すぎる企業は成長を諦めているようなもので、それ以上成長する余力がないとも解釈できる。
これまでの経験を踏まえると、配当性向は30%前後、配当利回りは2~3%前後の銘柄が、「ほっとけ投資」のターゲットとしては適していると考えられる。