妻の浮気が原因で離婚。突如、5歳の息子との父子家庭になった。手元に残された全財産は90万円。定時退社で保育園へ息子を迎えに行く毎日で、残業代ゼロ。年収400万円で、カツカツの生活だった。ギリギリの節約生活で、4年で1000万円を貯め、本格的に株式投資を開始。紆余曲折を経ながらも某企業の大株主になり、資産2億円以上を築いた。いまや成長し、就職した息子とふたりで焼鳥屋に行ったとき、これまでの半生を振り返り、「投資家」と「労働者」の話をした。
「サラリーだけで生きられる時代は終わった」
「億の資産をつくるにはお金に働いてもらうことだ」
「リスクをとらないと得られるものはないぞ」
離婚して父子家庭になり、全財産90万円から資産2億円以上を築いた父親が、投資術を初公開。いま息子へお金と投資の話を教える『どん底サラリーマンが株式投資で2億円』

全財産90万円から株式投資で2億円<br />毎月1回チェックした、たった2つのことPhoto: Adobe Stock

家計簿はいらない

【前回】からの続き。

節約のため、家計簿をつけている人は多いようだ。

何年か前のことだが、会社の忘年会でクラウド系のどの家計簿が便利だとか、ネット銀行のアプリには家計簿機能があって使えるといった話で盛り上がったことがある。

それを脇で聞いていて、20年前に家計簿をつけたときのことを思い出した。

離婚した直後、節約生活を始めるにあたり、エクセルで家計簿をつけ始めたけれど、数日でやめてしまった。

B型気質でズボラという性格が影響したのかもしれないが、それよりも家計簿は一度つけて家計のお金の流れを可視化できたら、ずっと続ける必要はないのではないかと感じたのだ。

離婚する前、家計は前妻に完全に任せっきりで、電気代が毎月いくらかかっているかさえも把握していなかった。

家計簿をつけると電気代・ガス代・水道代・クリーニング代・携帯電話代などにいくら出費しているかが可視化される。

それはそれで役立つのだが、一度わかれば、どこを削るべきかは明確になる。

真っ先にやめたのは、新聞だった。

会社にあるものを読めたからだ。

節約するには、毎月変動しない固定費をどれだけ削れるかがカギになる。

電気代は契約アンペアを下げると基本料金が下がるし、いまでは電気・ガス・携帯電話を1社にまとめると、大幅に節約できるプランもある。

携帯電話を大手キャリアから格安携帯に乗り替えると、それだけで月5000円、年間6万円ほどの節約になることもある。

いまいくらあって、それをどう使うか?

こうした改善行動は、一度でも家計簿をつけてみれば、すぐに実践できること。

いったん改善を終えたら、家計簿でずっとフォローしなくても済む。

また、結婚式などの臨時の出費に関しては、いくら使ったかを記録したところで、その後の出費が減らせるわけではない。

住居費も一度安いところに引っ越したら、月々の家賃は一定になる。

食費も3ヵ月すれば、だいたいの傾向が見えてくるので、それ以上やる必要はなかった。

個人投資家に必要なのは、家計簿のように過去のお金の流れを振り返ることではなく、「いまいくら資金があり、それをどう使う(運用する)か」を明確化すること。

家計簿を毎日つけたとしても、お金の流れを一度可視化して無駄を省いたら、それ以上の節約効果は誤差の範囲内だ。

それ以上、家計簿をつけて得られるリターンは、限りなく小さい。

家計を見直すことより、家計簿を完璧につけることのほうが目的になっているケースが多いのではないだろうか。

家計簿をつけ続けるより、節約するための行動をすぐに起こすことのほうが大事だ。

家計簿はあくまでも無駄を省くためのツールであり、お金を増やすために有効なツールではない。

自分は1000万円を貯めて投資生活にカムバックした後、次の2つを毎月1回だけチェックした。

● トータルでお金がいくらあるか = 総資産
● そのうち現金がどれだけあるか = 買いつけ余力

これは、次の投資のために動かせる現金が、どこにどれくらいあるかを確認するための記録。

これだけは現在でも欠かさずに続けている。

誰に似たのか、息子もズボラだが、これくらいの記録ならできるはずだ。