尹氏の入党に関し、「国民の力」の李俊錫(イ・ジュンソク)代表は次のように述べている。

「私は絶えず話をしてきたように、尹前総長を通じて大統領選挙で勝利するという意思に変わりはないと考えてきた」
「入党が8月でなく、7月だったことを肯定的に評価する」
「尹前総長が入党したのだから、尹前総長を支持する多くの方々が本日からオンラインで入党することを期待している」

 これらの発言は、尹氏が「国民の力」と一体となって逆風を跳ね返し、再度、両者の支持率向上につなげていこうとする尹氏の意思を強く買ったものと考えてよいのではないか。尹氏の「国民の力」入党によって早くも来年3月の大統領選挙に向けた運動は熱を帯びてきている。

次期大統領選は
三つ巴の争いに

 7月19日に発表された、韓国の世論調査会社・リアルメーターの「次の大統領にふさわしい候補」調査で、李在明(イ・ジェミョン)知事23.8%、尹錫悦前検事総長22%、李洛淵(イ・ナギョン)元首相20.1%となり、尹総長と李知事の争いから、李元首相を含めた三つ巴の争いに変化した。

 特に顕著だったのは李元首相への支持の急増である。李元首相はソウル・釜山の市長選挙において、「共に民主党」の選挙対策本部長を務めたため、「両市長選惨敗の責任を負って大統領選挙出馬を断念すべき」との声が党内や進歩系から湧き上がり、支持率が低迷していた。

 しかし、ここに来て与党支持の進歩派だけでなく、中道層で支持が大きく伸びている。進歩系では、これまで文大統領の不人気度が高まるにつれ、与党内で非主流派の李知事に支持が集まっていた。

 ところが、李知事は「親日派と米占領軍が大韓民国を建設した」と国体を否定するかのような発言を行うなど、あまりにも過激な言動が目立っている。このため進歩系の中からも李知事以外を支持する動きが広がっているのであろう。

 また、中道層も尹氏に政治経験がなく李知事に勝てない可能性があるとの疑念が湧き、首相、党代表を務め政治経験が豊富で穏健派のイメージが強い李元首相に支持が流れたという側面もあろう。