「同期たちに会社は任せられない」
大手商社社員が滲ませる深い危機感
「今の会社に来る前は、僕はベンチャーのソフトウェア会社にいました。小さな会社で、いつ潰れてもおかしくないという状況で仕事をしていました。もちろん、給料やステイタスはさすがに今の会社の方が上ですが、同僚の優秀さというか、ヤル気やプロ意識みたいなものは、前の会社の方が圧倒的に上でした」
数年前、当時31歳の某大手商社社員にインタビューしたときの言葉だ。彼はその後こう続ける。
「なんか、新卒でうちの会社に入った人たちは、そりゃ優秀なんだけど、社員バッジと名刺持ってりゃ満足っていう感じで。仕事終わった後の飲み会で、自分が仕事の話をしたら『飲み会で仕事の話は止めようよ』って言われてしまって。むしろ、世代が上の人たちと飲んでる方が仕事の話できるし、楽だなって思って、同期の飲み会にはあまり行かなくなってしまいました」
インタビューの最後に彼が言ったのは、
「正直、この同期たちにこの会社の将来を任せられるとは、思わないです」
というセリフだった。日本を代表する某一流企業での話である。
また、筆者が以前勤めていた某大学でのことだ。米国の大学で博士号を取り、その後国際的に活躍していた同僚が、ある日ポツリとこう言った。
「うちの大学の学生は、入ってくるときはハーバード、スタンフォードクラスの優秀さだ。でも出ていくときには、ボンクラになってるんだよ」
日本の大学教育の質の低さは、言うまでもない。大学の世界ランキングにおいて、日本の大学はトップ500の中にそこそこ多く名を連ねているが、いずれも「教育レベル」の項目では点数が低い。他の部分で補っているため、何とかランキング内に入っているという状態だ。