<仕事における課題>

●生産性の低下

「生産性が上がった」という声も多いテレワークで、逆に生産性を低下させている要因とは何でしょうか。第一に、テレワーク環境(IT・騒音対策面など)の整備が不十分であること。また、前半でも触れたとおり、「仕事の進め方において裁量権を持てない」、あるいは「全体性を欠き、働く目的や意味を見失っている」状態がモチベーションを低下させ、ストレスを高め、生産性にマイナスの影響を及ぼしています。

●キャリアへの失望

 1人で黙々とテレワークをしていると、成長を実感できない。スキルが停滞すれば、「終身成長」への道が閉ざされたような危機感を抱きます。社内で新たな経験を積むチャンスを与えられず、さらに副業も禁止されているとなれば、キャリアへの失望感を抱きやすくなります。

QOL向上とコンフリクト
生活面でのメリット・課題は?

<生活におけるメリット>

●ライフリデザイン

 会社中心の生活から、暮らし中心の生き方へシフトしている人が多く見られます。地方に移住、あるいは自宅とは別の拠点を設け、自然に囲まれた環境で、仕事の成果を実現し、結果的に会社に貢献する。そんなテレワークを実践する人も増えています。

 テレワークにより、育児や介護との両立など、ライフステージに合わせた働き方ができるようになっています。

●QOLの向上

「通勤」「夜勤」「転勤」――この「ムリ」「ムダ」「ムラ」を発生させる3勤が縮減されたことにより、「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)=生活の質」が向上しています。通勤時間の削減により、趣味に費やす時間を多くとれるようにもなりました。

 また、コロナ禍で生き方を見つめ直す中、家族・地域社会とのつながりを強めた人もいます。オンラインで多様な人とつながりやすくなったことから、会社以外のコミュニティでの自己発露の機会も増えました。これらの活動が、生活の豊かさにつながっていると言えるでしょう。