この5つの要素を挙げ、「テレワークの前後でどれが下がったか」をアンケート調査したところ、スコアの値が大きく下がっている項目が3つありました。
●仕事の全体感の把握
●仕事の重要性の実感
●上司や同僚からのフィードバック
テレワークをする従業員に対し、いかにこれらを持たせられるか。それが、従業員のモチベーションを高め、生産性を上げるために、企業が取り組むべき課題であると言えそうです。
テレワークのメリットと
課題を徹底整理
コロナ禍2年目、テレワークも2年目。ここまでで見えてきた、メリット(機会)と課題を、「仕事」「生活」に分けて整理してみました。以下にくわしく解説します。
<仕事におけるメリット>
●生産性の向上
働く時間・場所の制限がなくなったことで、遠隔での営業や接客、さらには大人数でのミーティングなどが実現できるようになりました。これまではリアルな場で対面をしないと、簡単には関わりを持てなかった人とも、情報交換や意思の疎通、アイデアの創発がしやすくなりました。社内外の組織の壁、あるいは国の壁も超えた新しい関係構築や生産活動が可能になっています。
また、「Time (時間)」「Place(場所)」「Occasion(機会)」 が最適化されました。「集中して考え事をしたいときは、早朝に自宅で」「仲間とワイワイ話して発散したいときは夕方のオフィスで」といったように、TPOに合わせて洋服を選ぶように、働く時間・場所を選べるようになっています。
このように、働き方における「束縛からの解放」「選択肢の増加」が、生産性向上につながっていると言えそうです。
●キャリアの再構築
「キャリアの再構築」も進んでいます。コロナ禍以前より、企業社会が「終身雇用」から「終身成長」へシフトする傾向は強まっていました。「終身成長」とは、いまの雇用だけに囚われずとらわれず、卒業後の中長期のキャリアまで見据え、自身の能力を生涯磨き、生きがいを持って働き続けようとするキャリア志向です。
コロナ禍では、危機的状況に素早く対応できた業種・職種・企業もあれば、そうではない業種・職種・企業もありました。社会が急激に変化する環境下で、「このまま会社に頼ってはいられない」と感じた人は少なくありません。
「会社が用意した研修を受け、会社が用意したキャリアパスに沿って課長になる」――そんな先行きに不安を抱く人たちは、「越境」して学び始めました。今の仕事とは関係ない分野のセミナーに参加する、今の会社ではできない仕事を副業で経験する……など、「越境型能力開発」へと乗り出し、将来のキャリアの可能性を自ら広げています。