気候変動対応とデジタル通貨で
動き出した世界の金融当局
官民を問わず世界の金融関係者の間では、「グリーン」つまり気候変動への対応と、「デジタル」つまりデジタル通貨の導入がともに重要な課題として意識され、主要国の金融当局や国際機関からも様々な方針が表明されている。
これら二つの課題は「外部性」という特性を共有する。
気候変動は世界規模の問題のため、小国には他国の努力による成果に「ただ乗り」する余地が生まれる一方、大国には自ら排出した温室効果ガスが他国の気候変動を悪化させる可能性がある。
また、デジタル通貨は多くの家計や企業が使用するほどに利便性が高まるだけに、米国や中国の巨大IT企業が国境を越えて独占的な地位を築く事態を招きやすく、結果として利用料の高騰や技術競争の停滞といった問題が起きる恐れがある。
このためどちらも、国や民間事業者同士の競争に完全に委ねるのではなく、国際的に共有しうる枠組みを構築した上で、官民が連携しながら各国の実情を考慮した対応を進めることが重要だ。だが現状では日本は議論に出遅れている。