外交・安全保障は
簡単に触れたのみ

 今回の演説では外交・安全保障面への言及は演説の後半部分に簡潔に含まれるだけであった。

 その中で日韓関係については、

「韓国政府は両国の懸案だけでなく、コロナと気候危機など世界が直面した脅威に共同対応するための門戸を常に開いている」
「正さなければならない歴史問題に対しては国際社会の普遍的な価値と基準に合う行動と実戦で解決していくだろう」

 と述べた。

 昨年の演説では、徴用工問題について「大法院の判決は大韓民国の領土内で最高の法的権威と執行力を持つ」と述べていた。しかし、文政権の昨秋以来の和解モードや裁判所で大法院判決と異なる判決が出ている。

 これを反映し、今回の演説では徴用工や慰安婦などの具体的な問題への言及はなく、対日関係では穏健な内容であった。しかし、日本が要求している歴史問題に対する新たな具体的解決策の提示はなかった。

 こうした状況に対し、中央日報は、「『日本たたき』は控えながらも前向きな提案はせず、対日関係を管理するのに重点を置いたとみられる」とその意図を分析している。

 北朝鮮については、

「南北が共存し、朝鮮半島の非核化と恒久的平和を通じて北東アジア全体の繁栄に寄与する『朝鮮半島モデル』を作り出すことができる」
「(北東アジア防疫、保健協力体に関し)協力を拡大していき東アジア声明共同体の一員である北朝鮮も共に参加できるよう努力したい」
「朝鮮半島の平和を強固に制度化することこそ南北ともに大きな利益になる」

 と述べた。

 しかし、具体的な政策の紹介や提案はなかった。