バイデン大統領の選挙公約の目玉の一つである「米雇用計画(インフラ投資計画)」は、財政赤字をどれぐらい増やすのか――。
米国では、そんな簡単な問いへの回答が見えにくくなっている。これまで米国の予算審議を支えてきた基本的な仕組みが傷ついているからだ。
インフラ投資法案、上院で可決
予算ルール無視で「財政赤字ゼロ」
米国の予算審議では、議会が審議する重要法案が財政に与える影響を議会に付属する専門機関が試算する仕組みがある。この試算を担当する議会予算局(CBO)は、特定の党派に偏らない中立の機関として高い信頼を集めてきた。
8月10日に米上院が超党派の議員による賛成で可決したインフラ投資計画を実現するための法案もCBOによる試算の対象だ。
だが、かつてない展開になっている。