無印良品はファミマからローソンへ
ダイソーの売り場併設で主婦層の取り込みも可能に

 神奈川県内にあるセブン‐イレブン。そこには見慣れないロフトの売り場がある。

 ロフトといえば、「駅ビルに入っていて、雑貨がそろっている売り場?」という認識の方もいるだろうが、今はコンビニでも買えるのだ。品ぞろえのバラエティー感は、それほどあるわけではないが、なんとなく売れ筋がそろっていて通勤帰りに気軽に買える。

 ただ、なんとなくロフト感はあるのだが、売れ筋商品に集約されているがゆえに、バラエティー感に欠けると感じたのは私だけだろうか。もっとも売れ筋を並べておくのがコンビニだから、効率を追求したらああいった売り場になるのは仕方ないだろうが、それにしても無味乾燥としている。

 実際のロフトの売り場ではそんなことはなく、バラエティー感があふれんばかりになっているが、なぜコンビニに置かれているとロフトらしさに欠けるのだろうかと思いつつ店内を回った。

 実は、セブン‐イレブンはこのロフトの売り場について、もう長い間、実験に取り組んでいる。かれこれ3~4年になるだろうか。

 本格展開をしなかったのは、売れるという確証が得られなかったのか、それともフランチャイズで展開するには効率がよくないと判断していたのか。実態は定かではないが、いずれにしても多店化できずに終わっていた。

 そして今回、ダイソーとの“セット”である。セブンがロフトとセットでダイソーを持ち出してきたのはローソンの「無印」の扱いと無縁ではないだろう。

 ローソンの無印の扱いは20年に、都内大田区の「久が原一丁目店」、新宿区の「新宿若松町店」、江東区の「南砂二丁目店」から開始、今では約100店以上でそろえている。

「無印」は元はといえば、ファミリーマートで扱っていた。ファミリーマートでの品ぞろえも少なく、なんとなく埋没感が出ており、いつやめるのか、なんて見ていたらいつの間にか売り場がローソンに移り、しかも拡大されていたというのが経緯である。

 そもそも、雑貨売り場はコンビニにとって厄介な存在である。実は生産性が低く、あれだけ売り場を割いていても売り上げに結びつかない。しかし、品をそろえておかなければならない商品である。

 ましてや、ドラッグストアが台頭、しかもコンビニの牙城である弁当や飲料水にまで触手を伸ばしており、コンビニのシェアを食っているなかで、活性化は急務となっている。

 つまり、どうしても扱わなければならない商品であり、“勝たなくてはならない商品”である。そこでセブン‐イレブンが切り札に選んだのが「ダイソー」と「ロフト」。

 ロフトはとにかく、ダイソーを導入した意思は明白である。コンビニのユーザーになっている“主婦層”を取り込もうという戦略だ。ダイソーならブランドイメージも浸透しているし、ドラッグストアに流れているお客もつなぎ留められる。商品の質的な感覚も分かっている。一部を除いて価格も100円だから分かりやすい。

 恐らく仕入れ値は50円以下だろう。売れればフランチャイズ加盟店も利益が取れるし、本部も潤う。ウィンウィンの関係が築けるのだ。