◆育成編・チームの士気を高める方法
◇メンバーが多くても覚えて名前で呼ぶ

 内村氏の有名なエピソードの中には、内村氏は現場で関わる様々なスタッフの名前を覚えて呼ぶというエピソードがある。

 これは普通のことのように思われるかもしれないが、テレビの収録や舞台に関わるスタッフは数十人から100人を超えることもある。この人数になると全員の名前を覚えるのは、並大抵のことではない。内村氏は番組ディレクター、アシスタント、照明スタッフに至るまで、各メンバーの名前を覚え、「○○さん、おはよう」というように話しかけるのである。

 リーダーがメンバーの名前を呼ぶことはメンバーを「個」として認識している証明であり、その人に対してチームにおける「居場所」をつくることでもある。そうすることで、メンバーはそのチームに対して共同体としての感覚を抱くようになっていく。

◆マインド編・自己成長を続ける方法
◇過去の功績を忘れ、今の自分と向き合う

 人はある年齢に達して、体力や知力が衰えてくると「成長し続けること」が難しくなってくる。しかし、内村氏は56歳になった今でも継続的な自己成長を実現できている。なぜ内村氏は成長し続けることができるのだろうか?

 その答えの一つには、過去の功績に縛られることなく、現時点で必要な能力を追い求めていることにある。内村氏は「昔の俺はこんなことをした」といった自慢話をすることはない。そもそも過去の自分を語ることはあまりないのである。

 リーダーとなる人であれば、「大ヒット商品を企画した」「会社一の売り上げを達成した」「社長賞を受賞した」など、周りに伝えたくなる経歴を数々手にしているだろう。

 過去の経歴や失敗談をメンバーに話したくなってしまうかもしれないが、自分から過去を語ることはやめた方がいい。その昔を語ってしまう背景には、「自分という存在を見直してほしい」「もっと敬意を示してほしい」という欲求が隠れている。

 しかし、仕事において相手の尊敬や信頼を勝ち取るために、過去の実績を振りかざすことは、一時的な効果しか生み出さない。過去にどれほど功績があろうと、「現時点での能力」がリーダーにふさわしいものと認められなければ、尊敬できるリーダーとなることはできない。

 リーダーはメンバーと向き合う時は「過去の自分」にとらわれず、「現在の自分」と向き合うことが大切なのである。そうすることで、自己成長を追い求めていくことができるのだ。