ウィズコロナの2021年版「秋の夜長のためのコンサル流読書法」Photo:PIXTA

読書は仕事の生命線
情報の専門家になるための大量読書術とは?

 経済評論家の鈴木貴博です。この8月のお盆のことでした。母との会話で何気なく、「この3カ月くらいは論文を書くのに忙しかったんだ」と話したところ、年老いた母の顔が少し暗くなりました。それで母があらたまって、「そこに座りなさい」と言い出したのです。

「親を喜ばせようと思っていつもそんな話をつくってくれているのだろうけれど、あんた本当は専門家なんかじゃないのだろう?」。そう真顔で母が言うのです。

 そして続けて、「だって、あんたの書斎には本が置いていないじゃないか。おかあさんはお前が何歳になっても何でもお見通しなんだよ」と言うわけです。

 母が「おかしい」と気づいたのは先日、立花隆さんの追悼番組を見ていたときだそうです。立花隆さんの書斎には、3mぐらいの高さの壁にぎっしりと、さまざまな分野の専門書が並べられていました。

 ところが私の書斎の本棚といえばがらがらで、中森明菜と沢田研二のDVDボックスがやけに目立っています。「あの子は空想だけで本を書いているんだ」と母はそう確信したのだそうです。

 ここからが本題ですが、すみません、私、結構たくさん本を読んでいます。今日時点で過去1年間に買った本を数えたら、351冊でした。持っている本は概算で6000冊ほど。生涯で購入した分は1万冊を超えるでしょう。それ以外に、コミックスもたぶん2000冊ぐらいあると思います。

 母がこの膨大な蔵書の存在に気づかなかった理由は、これらの本がすべてパソコンやタブレット端末の中に収蔵されているからです。そもそもコンサルティングファーム出身の経済の専門家なので、情報のインプットは仕事をするうえでの生命線でもあります。

 さて、年間351冊ということは、ほぼほぼ一日一冊のペースで読書をしなければ読むことができません。コロナのおかげでいつもの年よりはじっくり本を読む時間が増えていることは事実です。そこで今回の記事は、情報の専門家になるための大量読書術について三つのポイントで話をしたいと思います。