新型コロナウイルスのパンデミックで、過酷で多忙な医者の姿が連日報道されている。さぞかし医者不足なのかと思いきや、厚生労働省は近い将来「医者は余剰になる」との予想を出している。医者はこれからも高待遇を維持できるのか?フリーター医師、開業医、勤務医、それぞれについて、特集『医学部&医者2021 入試・カネ・最新序列』(全21回)の#4では、現場の声からは分からない、医者という職業をデータや国の制度改革などを基に予測していく。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
コロナ病棟の阿鼻叫喚の裏で
10年後には「医者余り」予測の怪
過去最大の流行規模になった、新型コロナウイルス感染症の第5波。報道は、過酷なコロナ治療の現場を映しながら、医療逼迫の理由について「医者が足りない」と連日連呼していた。
確かに医療現場は多忙だ。少なくともコロナ診療を行うような基幹病院の勤務医はコロナ前から過重労働が常態化しており、事態を重く見た政府は医師の健康確保措置を義務づけることなどを盛り込んだ改正医療法を今春に可決したほどである。
とはいえ、慢性的な人手不足ということは、裏を返せば「圧倒的売り手市場」。仕事は大変でも医者は決して食いっぱぐれることはなさそうだし、何なら今回のような有事への余力として医者を増やしてもよさそうだ。
しかし、厚生労働省が出しているマクロの推計では、25年を境に徐々に日本における医療の需要は減り、約10年後には「医者は余る」とされている。コロナ病棟の阿鼻叫喚の裏で、実は「医者余り」時代の到来は静かに、そして着実に始まっているのだ。
すでに、一部の医者は淘汰や収入の減少という憂き目に遭っている。医者はこれからもステータスを維持できるのか?フリーター医師、開業医、勤務医、それぞれについて、データや国の制度改革などを基に予測していく。