私立大学と違って国立大学の医学部の授業料はほぼ同じだ。公立大学では独自に設定されているが、やはり国立大学とほぼ同じ水準である。しかし、医学部のある国公立大学の財務諸表を見ていくと、財務体質の格差は意外と大きい。経営努力の結果が数字に表れている大学もある。特集『医学部&医者2021 入試・カネ・最新序列』(全21回)の#20では、収益性や人件費、教育研究経費、医療事業の採算に資本の厚さなど、国公立大学の財務諸表を多角的に分析した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
授業料が同じでも意外な格差が!
医学部のある国公立大学の財務
国立大学の医学部の学費は、入学金が28万2000円、年間授業料が53万5800円(千葉大学と東京医科歯科大学は64万2900円)と他の学部と同じ水準。6年間で349万6800円となる。公立大学もほぼ同水準である。一方、私立大学の医学部は最も安い国際医療福祉大学や順天堂大学などでも6年間で2000万円前後の学費が必要になる。
言うまでもなく、国公立大学医学部の学費は安い。そして、どの大学もほぼ横並びの授業料である。しかし、それぞれの大学の財務状況を見ていくと、その中身は決して一様ではない。
そこで今回、本特集#19『医学部がある大学「財務健全性」ランキング【私立31校】収益性2位関西医科大学、1位は?』の医学部のある私立大学の財務分析編と同様に、国公立大学についても損益計算書、貸借対照表を基に、九つの指標を算出し、財務状況を分析してみた。子細に見ていくと、授業料がほぼ同じであっても、意外と格差が大きい指標があることが分かった。経営努力の結果が数字に表れている大学もある。収益性や人件費、教育研究経費、医療事業の採算に資本の厚さなど、次ページでその実態を見ていこう。