首都圏難関中学各校の塾別合格者数ナンバーワンの座は、SAPIX(サピックス)の独壇場というわけではない。特定の学校にことさら強い塾も存在する。そこで、特集『わが子にピッタリ!塾・予備校&家庭教師・オンライン教材選び』(全22回)の#18では、共学、男子校、女子校別に、過去16年間の難関中学18校への塾別合格者数を公開。特定の学校に伝統的に強い塾だけでなく、目下、どこの塾がどの学校の合格実績を伸ばそうとしているのか明らかにする。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
中学受験塾の合格者総数
大手の優勝劣敗が鮮明に
本特集#2『中学受験「合格力」ランキング【首都圏24塾】合格力2位エルカミノ、1位は?』と#13『中学受験「合格力」ランキング【関西15塾】馬渕の中学受験トップが電撃退職のワケ!』では、東西の中学受験塾の2021年度入試結果の分析にとどまった。
ここでは、過去十数年にわたる長期的な視点で首都圏各塾の特徴を見てみよう。まず下グラフは、主要塾の合格者総数の推移だ。
現在の合格者総数トップは、20年度に日能研を追い抜いた四谷大塚だ。また、早稲田アカデミーもほぼ一貫して上り調子となっている。片や2位に転落した日能研はじわじわと減少が続く。また、首都圏中学受験塾の王者、SAPIX(サピックス)も21年度、右肩上がりだった成長に急ブレーキがかかった。
ただし、合格者総数の推移からはその塾の全体的な勢いは判別できるものの、個別の学校への合格者数にもそれが当てはまるかといえば別問題だ。特定の学校にひときわ注力している塾もあるからだ。そして、もしわが子の中学受験対策が出遅れているならば、その視点で塾選びをするとよい。
「中学受験対策を始める学年が遅ければ遅いほど、または受験年の6年生であるならば、特定の学校や教科に強い塾の活用を併塾も含めて考えた方がいい」と、森上教育研究所の森上展安代表は言う。なぜなら「一斉指導はどうしても全入試対応になりがち。志望校合格に必ずしも必要でないことまでやることが多い」(同)からだ。
特徴ある塾の例として、志望校別の場合、浅野、麻布に強い啓進塾のほか、武蔵ならアントレ、国学院久我山に強いおぎしん、都立中高一貫校に定評があるena(エナ)、栄光ゼミナール系列のE-style(イー・スタイル)、早稲田アカデミーといった名前が挙がる。一方、特定の教科に強い塾の方は、算数教育で知られるエルカミノやエデュコなどがそれだ。
次ページから、さっそく筑駒や開成、桜蔭など男女御三家、都立小石川といった難関18校への塾別合格者数の16年に及ぶ推移を見てみよう。もちろん総じてサピックスの伸びと強さが光る。しかし、特定の学校においてはサピックスを上回ったり、猛追したりしている塾も。志望校に合致するならば入塾の選択肢に加えてもいいはずだ。
また、付録として首都圏と関西の「塾別合格者数上位校ランキング」も掲載した。どの塾がどの学校にどれだけ合格者を出しているかによって、その塾が注力している学校も分析できるので参考にしてほしい。