家庭で学習の質を上げるカギとは?
親が今すぐできること

 今回の調査では、「家庭でテレビゲームをする時間」と「正答率」が強く関係することが判明した。

 小学校・中学校を通して国語でも算数(数学)でも、家庭でのテレビゲームの時間が長いほど、正答率が低くなることがわかった。たとえば小学校国語について見ると、4時間以上テレビゲームをしている子どもの平均正答率が54.8%であるのに対し、全くしていない子どもの平均正答率は74.7%である。この中間に3時間以上4時間以内、1時間以上2時間以内などがあるが、いずれにしてもテレビゲームの時間と平均正答率ははっきりと反比例する。小学校算数、中学校国語と数学でも全く同じ状況である。

 家庭でのテレビゲームの時間をどうルール化していくかを、家族で丁寧に話し合うことが重要だ。

 そして、家庭学習の時間をどのように確保するかと同時に大切なのが、よりよい家庭学習の方法を子どもが身に付けていくことである。

 例えば、秋田県、石川県では、子どもたちが学校の教師から家庭学習のサポートを手厚く受けている。学校質問紙には、家庭での学習方法を子どもに教えているか、家庭への課題について先生同士が共通理解を図っているかといった質問があった。それらに「(1)よく行った」と答えた上位4都県の学校の平均と全国平均との差は次のとおりである。

家庭学習の取り組みとして,学校では,児童・生徒に家庭での学習方法等を具体例を挙げながら教えるようにしましたか(教科共通)
【小学校】石川+9.4/秋田+25.0/福井-8.7/東京-10.6
【中学校】石川+18.8/秋田+25.4/福井+12.3/東京-10.8

*「全国学力・学習状況調査【都道府県別】学校質問紙」2021年を基に筆者作成

家庭学習の課題の課し方について,校内の教職員で共通理解を図りましたか(教科共通)
【小学校】石川+12.6/秋田+30.1/福井-11.6/東京-9.9
【中学校】石川+23.0/秋田+22.0/福井+11.1/東京-11.5

*「全国学力・学習状況調査【都道府県別】学校質問紙」2021年を基に筆者作成

 これらは、教師が子どもたちに家庭学習への指導をどこまで丁寧にしているかを示している。実は、秋田県の場合は通塾率が極めて低い。児童・生徒質問紙の中に「学習塾の先生や家庭教師の先生に教わっていますか」という質問がある。その質問に「1.教わっていない」と答えた子どもの割合は、小学校で全国平均52.6%だが、秋田県は74.7%と全国で最も多い。中学校では、全国平均36.4%、秋田は63.7%で全国3番目の多さだった。それを補う意味で家庭学習への指導が丁寧に行われている。一方、石川県は秋田県ほど通塾率は低くない。しかし、それでも家庭学習の指導を手厚く行っている。

 家庭学習の習慣が身に付かないという場合、もちろん家族がさまざまな援助をする必要がある。ただ、それだけでは限界がある。教師や学校に援助を求めることも大切である。ぜひ担任の先生に相談するとよい。必ずよいヒントが見つかるはずだ。

 たとえば秋田県では「家庭学習ノート」の取り組みがある。前の日に学習で使ったノートを翌日、先生に提出すると先生はそれに目を通し、赤ペンで励ましや助言をして返してくれるというものだ。そのため秋田県の子どもの家庭学習は充実している。塾がなくても、高い学力を身に付けている。それはもちろん秋田県の授業の質が高いからではあるが、家庭学習の質もそれを大きく支えている。