やはりここでも漢方薬が使えます。肺炎予防に最も推奨される漢方薬として、私は柴葛解肌湯をおすすめします。ただし、柴葛解肌湯は医療用漢方エキス剤がないため、葛根湯小柴胡湯加桔梗石膏を併用して近似処方とします。近似処方でもほとんど同等の効果を得られます。それが手に入らない場合には、処方箋のいらない第2類医薬品の柴葛解肌湯エキス細粒G「コタロー」(小太郎漢方製薬)があります。

 今回紹介した漢方薬は、医療機関を受診して医師に処方箋を書いてもらうか、大規模店舗チェーンを持つ薬局(ドラッグストア)であれば、ほとんど購入できます。ただし、漢方薬といっても薬。誤った服用の仕方をすると、かえって症状を悪化させたり、思わぬ副作用を招いたりすることもあります。必ず事前に漢方に詳しい医師や薬剤師、あるいは、拙著『新型コロナと速効!漢方』をよく読んで上で、服用するようにしてください。

(監修/医療法人徳洲会 日高徳洲会病院院長 井齋偉矢)

◎井齋偉矢(いさい・ひでや)
 1950年、北海道生まれ。医療法人徳洲会日高徳洲会病院院長・医学博士。北海道大学医学部卒業。専門は消化器外科、肝臓移植外科で日本外科学会認定登録医。1988年から3年間、オーストラリアで肝臓移植の実験・臨床に携わる。帰国後、独学で漢方治療を本格的に始め、現在、日本東洋医学会認定専門医・指導医・名誉会員。2012年にサイエンス漢方処方研究会を設立、理事長として科学的根拠(エビデンス)にもとづいた処方を行う「サイエンス漢方処方」の普及に努めている。
 おもな著書に『抗がん剤の辛さが消える 速効!漢方力』(小社刊)、『西洋医学が解明した 「痛み」が治せる漢方』(集英社新書)、『147処方を味方にする 漢方見ひらき整理帳』『救急初療室でも使える! 一撃!!応急漢方』『介護漢方: 排泄障害・摂食嚥下障害・運動器障害・睡眠障害・フレイル・サルコペニアへの対応』(以上、南山堂)などがある。