「自宅療養」への政府方針変更に潜む、本当の「問題点」写真はイメージです Photo:PIXTA

「自宅療養を基本に」
日本政府が方針転換

 2021年8月3日、政府はコロナで入院する対象者を重症者や重症化リスクがある人に狭め、それ以外は自宅療養を基本とする新しい方針を決めました。これを受けて、コロナの第5波が爆発的に増加している東京都でも感染者の入院基準を改定して、現在の血中酸素濃度96%未満よりも厳しくすることを決めました。

 これらの方針転換を受けて、与党内にも反対する声が広がっています。方針転換をすることは「実質的な医療崩壊を認めているのではないか」などの声も上がり、世論も騒然としています。

 医療崩壊を防ぐ目的で入院基準を見直すという考えは、論理的には正しいとは思います。ただし、その基準はあくまで「医療の現場から見て正しい」という前提を伴うべきです。分科会の尾身会長もご存じなかった今回の決定について、何が問題なのかをまとめてみたいと思います。

追記:自宅療養への方針転換に関して与党内からも反発が高まり、8月5日夜までに政府は実質的に新しい療養方針を撤回しました。本記事は、撤回前の政府方針の危険性について8月4日時点でまとめたものですが、今後、政府方針が再び揺れ動く危険性もあることから内容を変更せずそのまま掲載したいと思います。