相続税や贈与税の課税額に大きく影響するのが路線価だ。7月1日に発表された最新の路線価を基に、相続税の課税額が前年と比べてどれだけ変動したかを試算した。特集『死後の手続き お金の準備』(全16回)の最終回では、関西地方の主要60駅のエリアで、相続税が上がったのはどこかをお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
大阪・心斎橋筋は前年比マイナス26.4%
路線価の変動で相続税が上昇した駅は?
相続財産の約4割を占めるのが不動産だ。路線価の上昇は相続税の“増税”につながる。
国税庁が今年7月1日に発表した全国約32万地点の路線価の平均は前年と比べて0.5%下がり、6年ぶりの低下となった。大阪府は0.9%と8年ぶりに低下し、相続税の増加におびえる人には朗報だと感じるかもしれない。ただし、コロナ禍でダメージを受けたのは商業地が中心だ。
例えば大阪府で最も路線価が高かったのは大阪市北区角田町・御堂筋の1976万円だったものの、前年と比べて8.5%も低下している。これまでインバウンド需要を取り込み好調だった大阪市中央区の心斎橋筋は同26.4%減と、全国でも目立った落ち込みを見せている。
一方、大阪市内でも路線価が上がっているエリアがある。
そこでダイヤモンド編集部は関東・関西地方の主要165駅の最寄りの住宅地について、21年の路線価に基づき、相続税が前年と比べてどれだけ上昇したかを試算した。
試算では、自宅の敷地が150平方メートルで築25年の延べ床面積90平方メートルの木造住宅(固定資産税評価額200万円)、預貯金3000万円を、別居の子供1人が母親から2次相続したケースを想定した(父親は既に他界、小規模宅地等の減額特例は不可)。
今回は関西地方60駅の結果を見て行こう。
関東地方の結果は、本特集の#15『相続税が上昇した駅ランキング【2021年路線価・関東105駅】武蔵小杉と並ぶ1位は?』で紹介している。
関西地方で相続税が上昇したのはどの駅のエリアなのか。