変化への不安から
若手と群れたがる

 このような会合は当人同士でやってほしいものだが、往々にして若手や後輩も巻き添えになる。おじさんたちの雑談を聞かされ続けるだけの会議や、行きたくもない飲み会に有無を言わさず駆り出されるということは、多くの社員が経験しているだろう。このような行動をしてしまうおじさんに石原氏は苦言を呈す。

「おじさんたちは『俺らの何気ない話も若手には勉強になるはず』と思いがちですが、それはあまりにも自らを美化しすぎています。多少は有意義な話題があるかもしれませんが、現代の多くの若者は好きでもないおじさんから何かを得ようと思いません。知りたいことはネットでいくらでも検索できますし、そもそも群れ(組織)にいれば安心という意識も薄いので、貴重な時間を削っておじさんに付き合うメリットも感じません」

 さらに若者と群れたがるおじさんには、ある種の焦りがあると石原氏は語る。

「インターネットやパソコンなどテクノロジーの変化への対応力を欠くおじさんは多く、柔軟に対応する若者に差をつけられていないかと不安になっています。このようなおじさんたちは会議や飲みの場で人生経験などを語ることで、自分はまだ若者よりも秀でていると思い込みたいのです。また、自分がバリバリ仕事をできないと自覚する上司に残るのは『部下に慕われる』という矜持だけなので、彼らは若者にとって迷惑な群れ方を強要している可能性が高いです」

 コロナによって新しいコミュニケーションツールや仕事の進め方などが急激に変化したが、その反動でより群れたい欲が強くなっているのかもしれない。

「コロナによって不安や焦りはますます強くなっています。そうした気持ちを慰めてくれる場所がキャバクラなどの、いわゆる夜のお店だった。お金を払って仕事に関する愚痴をこぼし『俺に言わせりゃ』と気勢を上げられるオアシスだったのです。しかし、コロナ禍によりそれもかなわず、欲求がより身近な人に向いている可能性があります」

 緊急事態宣言の解除を一番待ち望んでいたのは、このように行き場を失ったおじさんたちだったのかもしれない。