コロナ禍で増える
オンライン上の群れ

 ただ、現在はテレワークや飲食店の時短営業、人数制限で思うように人と会えない。こうした中で増えつつあるのが、LINEグループやメーリングリストといった「オンライン上の群れ」を作りたがるおじさんたちである。

「やたらとLINEグループを作りたがったり、『今日は中秋の名月ですね』などと仕事と関係のない投稿やメールを送ったりするおじさんもいます。対面で話せない寂しさをオンラインで晴らそうとするわけですが、他のメンバーにとっては興味がないか、もしくは迷惑なだけ。『やめた方がいいですよ』と言うと逆恨みされるので、メンバーは精いっぱいの抵抗として既読スルーするわけですが、そのような空気を察することができないおじさんも多い。彼らは、上司や先輩というだけで若手が構ってくれるという価値観から抜け出せていません」

 このような投稿は、時として部下の労働意欲をそぐ効果も働いてしまうので、上司の役割としては本末転倒だ。

 ここまで散々、若者に群れを強要するおじさんについて書いてきたが、決して世代間の対立をあおりたいわけではない。石原氏も、おじさんをあまりに忌避する若者に対してこう警鐘を鳴らす。

「おじさんを老害とやゆし、あたかも世代の仮想敵のように考えるのも危険です。そこには、おじさんを否定することで自分たちの価値やプライドを保っている側面があり、おじさんたちが『最近の若者は……』と話すことと構造は同じなのです。実際、高慢で群れたがる先輩にはなるまいと思っていたおじさんも多いのですが、期せずしてそうなってしまった。若者にとっても明日は我が身なのです」

 大抵の人間は、「こんな大人にはなるまい」と思っていたのに、気づけばそんな大人になっているものだ。今の若者も30年後には、迷惑な群れるおじさんになってしまう可能性はある。最後に、石原氏はおじさんのあるべき振る舞い方について、次のように話す。

「現在のおじさんが若手の頃は我慢して先輩に気を使いましたが、いざ先輩の立場になったときに、かつてと同じようには振る舞えない時代になりました。リストラや技術革新など状況の変化もあり、おじさんにとっては受難の時代ともいえます。こうした状況下において『自分の言動は若者にとって迷惑かもしれない』ことを念頭に置くべきです。部下を誘うときは『オイ、行くぞ』という上から目線ではなく、『行けたらうれしい』と下手に出る。会話する際も『尊敬されたい』という欲を捨てる。また、プライベートでは一人でできる趣味を見つけ、会社や家庭以外の居場所を見つけると迷惑な群れ方を予防できます」

 これらに気をつければ時代や周りに取り残されず、慕われる中高年になれるはずだ。