世界的な脱炭素シフトにより、空前の商機が到来しているのはコンサル業界だ。脱炭素に悩む企業の駆け込み寺となるコンサルだが、中でも幅広いサービスを手掛ける会計ビッグ4の動向に注目が集まっている。CO2排出量の第三者保証といった「お墨付き」ビジネスでは、会計監査で培った経験が活用できるからだ。特集『脱炭素地獄』(全19回)の#12では、会計コンサルならではの秘策を解説する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
新組織を続々立ち上げ
会計コンサルが注力する脱炭素ビジネス
「いまやコンサルの提案に脱炭素が絡んでいないことがない」。ある上場企業の幹部はそう舌を巻く。
世界的な脱炭素シフトが迫る中、自動車や鉄鋼といったレガシー企業がピンチを迎えている一方で、再生可能エネルギー業界や半導体産業など、その恩恵にあずかる業界も少なくない。
その一つがコンサル業界だ。脱炭素のための戦略作りや脱炭素を巡る国際的なルールの激変によって、経営は「複雑性」と「不確実性」を極めている。コンサルにとって、脱炭素は企業から持ち込まれる当然対処すべき重要な課題であると同時に、新たな飯の種にもなっているわけだ。そのため、あらゆるコンサルが最重要テーマに脱炭素を掲げている。
その中でも商機が訪れているのは、監査法人をグループに持つ“会計ビッグ4”のコンサルだ。
例えば、KPMGジャパンは7月に「サステナブルバリュー・ジャパン」という横断組織を立ち上げたほか、EY Japanは監査法人内に「サステナビリティ開示推進室」、グループ内に「SDGsカーボンニュートラル支援オフィス」といった新組織を立ち上げるなど、ESG(環境、社会、企業統治)関連の取り組みが加速している。無論、デロイトトーマツやPwC Japanも例外ではない。
なぜビッグ4が商機を得るのか。結論から言えば、会計系コンサルは脱炭素をフックとする幅広いサービスを提供することが可能だからである。
例えば、拡大が見込まれるビジネスの一つが、環境データの「第三者保証」だ。