演繹法で考えれば、ウーバーの誕生は当然のことだった演繹法で考えれば、ウーバーの誕生は当然のことだった Photo:REUTERS/AFLO

 約30年前から始まった「デジタル革命」により企業環境が大きく変化した。

 だが、多くの日本企業はいまだに対応できず、停滞している。

 この間、企業経営者から現場の社員に至るまで、新しい事業経営に関してよく勉強してきたはずだ。それなのに、なぜこの停滞から脱却できないのか。そのヒントが、『世界標準の経営理論』(入山章栄著)で著者が主張する、「理論ドリブンの思考」にあった。

 経営に関して熱心に勉強しても、それは実際のビジネスのさまざまな事象や課題について学ぶ「現象ドリブン」であって、それぞれの企業の状況や時の経過によって示唆が変わってしまう。一方で理論ドリブンでは、普遍的な理論を軸に、そこから事象ごとの経営課題を議論する。利点は、理論に汎用性があるため、それが時代を超えて不変であるということだ。

 デジタル革命では、事業や経営のイノベーションが問われている。停滞し続けている日本企業に必要なのは、イノベーションを理論ドリブンで理解することだ。

 本連載では、イノベーションの世界的中心地であるシリコンバレーで活動する中で得られる示唆から、できるだけ普遍的な考え方を紹介するよう心掛けている。100回を超える連載の中で、さまざまな示唆を提示してきたが、イノベーションの経営を理論ドリブンで考え直してみよう。