つみたてNISA を「普通の人」が続けるメリットと、押さえるべき2つのポイント写真はイメージです Photo:PIXTA

コロナ禍で収入が減った人も多いでしょう。その上、食品の値上がり、原油価格の高騰などが、さらに家計に追い打ちをかけてきている状況です。それでも、「つみたてNISA」を始めたり、続けたりしてよいものなのでしょうか? 早いうちから資産形成に向けて動くメリットを解説します。(セゾン投信代表取締役会長CEO 中野晴啓)

「一般NISA」を反面教師に生まれた「つみたてNISA」

 少額投資非課税制度のNISAには、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類が併存しています。

「一般NISA」は2014年に制度が始まりましたが、制度化の途上で政治的駆け引きや税調との調整の結果、非課税期間が5年に短縮されて、とても残念な制度になってしまいました。

 そして投資信託のみならず個別株式も投資対象としたことから、証券会社などでは短期的に値動きが大きい投機的商品勧誘のツールとして利用されるなど、本来の長期資産形成目的への理解が進みませんでした。

 そこで金融庁は2018年から新たに「つみたてNISA制度」をスタートさせたのです(本連載『金融庁が「つみたてNISA」を勧める切実な理由、日本がダメになっても大丈夫?』)。

 このような背景があったことから、「つみたてNISA」は「一般NISA」の中途半端なメッセージ性を反面教師として、徹底して制度目的を明確にしています。

 というのも、年間非課税限度額は40万円にとどまる一方で、非課税運用期間を20年と、劇的に長期化させて本格的長期運用の実践を促したのです。それと同時に、名称の通り積立投資でしか制度参加できない仕組みにすることで、まとまった資金がまだない若年世代にも普及させ、将来の不安を軽減できるようにしたのです。