三井住友 名門「財閥」の野望#9Photo by Toshiaki Usami

住友の業祖、蘇我理右衛門が銅製錬と銅細工を開業した1590年を創業年とする住友金属鉱山は、日本の上場企業で指折りの長寿企業だ。特集『三井住友 名門「財閥」の野望』(全18回)の#9は、現在の住友グループの“長兄”とも称される金属鉱山の野崎明社長に、400年を超えて受け継がれる住友の事業精神を語ってもらった。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

新居浜・別子銅山からグループの発展が始まった
住友「源流」の事業を続ける金属鉱山の矜持

――5年ほど前に別子銅山(愛媛県新居浜市)に登ったのですが、荘厳な遺跡に圧倒されたことを覚えています。別子はまさに住友発展の礎となった山だと思いますが、住友金属鉱山にとってはどのような存在なのでしょうか。

 当社は別子の経営を引き継ぎ、1973(昭和48)年まで操業していました。別子銅山から住友グループの発展が始まっている部分も大きいので、われわれから見ると別子は当社のものであって当社のものでない、グループ全体にとっての大事な存在です。

 昔の人たちがそこで苦労され、生活され、それが現在の住友グループ各社につながっているという意味で、グループ全体の財産だと思います。

――社員研修の一環で登山なども行っているのでしょうか。

 ええ。入社時と幹部昇格時、それと役員になるとき。最低限この3回のタイミングがあり、その他にも折に触れて登山を行っています。これは当社だけではなく、住友グループ各社がやっていると思います。

――その狙いは。