総予測#22
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2020年、未曾有のコロナ禍が日本を襲来した。21年も経済の完全回復の目処が立たない中で、メガバンクグループはどんな役割を果たすのか。特集『総予測2021』(全79回)の#22では、三井住友フィナンシャルグループの太田純社長に21年の予測と注力分野を語ってもらった。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

三井住友トップが語る2021年
経済の低空飛行が続くと「非常にまずい」

――2021年はどのような一年になると予測しますか。

 2020年の4~6月は経済活動が落ち込み、GDP(国内総生産)も下落しました。7~9月は反発しましたが、経済は元に戻っていません。緩やかかもしれませんが、21年がコロナ前の水準に戻る過程であってほしいです。

 コロナの影響は業種に基づく跛行性(はこうせい)があり、空運業のように21年だけでは戻り切らない業種もあれば、製造業のように生産活動が相当戻っている業種もあります。日本で一番戻りが遅いのは個人消費であり、故にサービス業への打撃が大きい。人々のマインドセットを含めて、消費活動を元に戻していくことが大事になります。

 経済活動の回復でいうと、ベストシナリオはワクチンが行き渡ってコロナの心配がなくなり、結果的にマインドセットが明るくなり消費が活気づくというものです。

 悪いシナリオは、コロナの終息にめどが立たず、経済の低空飛行が続くというもので、これは非常にまずい。低空飛行が長引くと、これまで政府や銀行の支援で資金をつないできた中堅・中小企業が耐え切れなくなる事態が起こり得ます。コロナがどこまで続くかが、大きなリスクファクターです。

 米国については、民主党政権になっても足元の施策は変わらないと思います。ただ中期的には、民主党政権はかねて金融規制の強化を掲げています。増税も、上院の多数派が共和党になったために簡単にはできないと思いますが、実施すれば米国経済に影響を与えるので懸念はあります。米国と中国との関係性は変わらず、米中関係のリスクは抱えたままです。

――菅義偉首相がデジタル庁の創設を打ち出すなど、2021年は官民を挙げたデジタル化の加速が予測されます。デジタル化の取り組みや、その波及効果についてどう考えますか。

 銀行を単なる金融機能を果たすためだけの機関だと捉えると、顧客との日常取引をデジタル化することで、より安くてより良いサービスを提供することが限度です。

 ただし、私たちが持っている非金融を含めたデジタライゼーションの仕組みを使い、より幅広くプラットフォーマーとしてのビジネスを展開していけば、顧客への影響は大きくなると思います。