商社非常事態宣言#7Photo:AP/AFLO

世界中にビジネスの網を張る商社に、新たな問題が急浮上している。人権リスクだ。軍事クーデターが起きたミャンマーでは、数々のプロジェクトが頓挫の危機にある。市民を弾圧する政権と近しいビジネスは「人権侵害」のレッテルを貼られかねない。特集『商社 非常事態宣言』(全15回)の#7では、商社が抱える「第2のミャンマー」リスクを検証する。(ダイヤモンド編集部 重石岳史、田上貴大)

軍事クーデターで企業が直面する「人権リスク」
第2・第3のミャンマー問題も急浮上

 霧雨が降る5月中旬の東京・大手町。住友商事の本社前で、横断幕を掲げて声を張り上げる団体を、傘を持ったビジネスパーソンたちが遠巻きに眺めていた。

「住友商事はミャンマー市民の知る権利や表現の自由といった人権の侵害に加担している!」「ミャンマー国軍の資金源を断つために具体的な行動に移すべきだ!」

 住友商事が「人権侵害」を侵していると糾弾されなければならない理由は一体何か。それは住友商事だけでなく、今、あらゆる企業が直面しかねないリスクであることを、肝に銘じなければならない。