中国の最高指導部が一連の緊急会合を開き始めたのは、今年9月末だった。石炭価格の上昇を主因としたエネルギー危機が、中国全土に広がり始めていた。影響を受けたのは工場だけではなかった。ソーシャルメディア上では、同国北東部の真っ暗な道路を車が走る様子や、人々が自分の携帯電話の明かりの下で食事をしたり、突然停止したエレベーターの中に家族が閉じ込められたりする姿が紹介された。エネルギー不足の長期化と「不満の冬」到来への懸念が高まっていた。中国の指導者らが危機対応に奔走していた9月のこの時期は、英グラスゴーでの国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳会議に向けて中国政府が準備を進めていた時期と重なっていた。こうした状況は、化石燃料からの脱却の加速化を求める国際的圧力と、国内のエネルギー供給の安定を保つ必要性との間でバランスを取るという、中国に突き付けられた課題を浮き彫りにした。
エネルギー危機が重荷、COP26控え後手に回る中国
20年で最悪の電力不足は中国の課題を浮き彫りにした
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