動物病院最前線#1Photo:PIXTA

もうけのチャンスに敏感な投資ファンドが、動物病院に目を付けた。ステーキチェーン「ペッパーランチ」などを買収したことで知られる投資ファンドが、ひそかに動物病院を買い集めている。特集『動物病院の最前線』(全10回)の#1では、動物のお医者さんの世界に札束を持って乗り込んだ投資ファンドの狙いを追う。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

ペッパーランチを買ったファンドが
なぜ動物病院を買い集めているのか

 投資ファンドの業界は、もうけに最も厳しい世界だ。投資家から調達したお金を事業や企業に投資し、一定の年数内でリターン(利益)を出して投資家に還元する。高い利益を還元できれば、その投資案件を率いたファンドマネジャーは業界で広く名が知られ、自身のファンドを起こすことも可能だ。一方で期待以下のリターンであれば、担当者には「投資下手」「眼力不足」と赤裸々な能力評価が業界から下され、ファンドそのものも次の資金調達が難しくなる。

 この厳しい世界で、動物病院の業界にお金を突っ込む投資ファンドが出現している。独立系ファンドのJ-STAR(東京都千代田区)だ。

 J-STARといえば2020年、外食チェーン大手のペッパーフードサービスからステーキチェーンの「ペッパーランチ」事業を買収したことが記憶に新しい。この他にも、若者に人気のアパレルチェーン「WEGO(ウィゴー)」や、AV機器の大手だったオンキヨーホームエンターテイメントのイヤホン・ヘッドホン事業などにも投資している。

 こういった投資実績に比べてほとんどニュースになっていないが、J-STARは17年から、動物病院をコツコツと地道に買い集めているのだ。

ペッパーランチ投資ファンドのJ-STARは昨夏、ペッパーランチを買収した。このファンドが動物病院にも投資チャンスを見いだしているという(写真出所:ペッパーランチのフェイスブック)