日本の動物病院が「買収の標的」に、北米で1000院運営の黒船が札束握って襲来Photo:AndreyPopov/gettyimages

幕末期に来航した黒船は、明治維新へとつながる日本の大変革のトリガーとなった。そして令和の今、米国の黒船が動物病院業界に襲来している。特集『動物病院の最前線』(全10回)の#3は、動物病院を買収の標的とする米国企業の日本上陸について伝える。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

全国1.2万院の動物病院業界に
米国から「黒船」が静かに襲来

 家庭で飼われているペットを診察する動物病院の数は2020年末時点で1万2247院となっている(農林水産省の飼育動物診療施設の開設届出状況)。過去10年間で見れば、16%増えた計算だ。

 この動物病院の業界は、病院ごとの事業規模を基準に見てみると、極端にボトム層が大きくいびつなピラミッド構造となっている。

 動物病院の経営コンサルティングを手掛ける西川芳彦氏によると、国内の動物病院は9割が年商1億円未満にとどまっている。1億円以上を売り上げるのは1割弱、2億円を超えるのは約200院と全体の2%以下しかないという。

 そしてこのピラミッドの頂点に、ぱくりと食い付こうとしている勢力がある。2%以下の稼げる動物病院を次々と買収しようという「黒船」が、米国から日本に上陸しているのだ。