4人の立候補者が1カ月間、それぞれの政策を掲げて争う「自民政策劇場」の期間中、「自民党にはいろいろな考え方の国会議員がいて、層が厚いんだな」という声をよく耳にしました。

 菅政権下での衆院選であれば、恐らく自民の比例枠は大幅に減ったでしょうが、総裁選挙によって自民党の支持者は増えたのだと思います。

 つまり「うちの選挙区の自民党候補はイマイチ気に入らないから小選挙区では投票しないけど、自民党には河野さんも高市さんも野田さんも岸田さんもいるから、比例では自民党に入れるかな」ということになったのです。そう考えるとつくづく菅義偉前首相の“大政奉還”は自民党を救ったことになりますよね。

若返りを迫られる
立憲民主党

 私の恩師である伊吹文明元衆議院議長をはじめ、大島理森前衆議院議長、塩崎恭久元厚労相など、多くの重鎮議員が立候補せず、政界を引退されました。

 そのバトンが次の若い世代へとつながるかどうかというのも、今回の衆院選の一つの注目ポイントでした。

 先述の石原伸晃元幹事長をはじめ、大臣経験者や重鎮が落選し、良くも悪くも昭和の名残のある自民党議員が多く国政から姿を消しました。野党共闘は、ある意味、若返りの薬といえるのかもしれません。

 若返りを図るべきなのは、自民党のみならず野党も同様です。

 特に野党第1党である立憲は、イデオロギーの異なる共産党などと共闘し、結果的に議席の数の力が物を言う国会において議席を減らしました。

 枝野幸男氏の党代表としての罪は重たいといえるでしょう。

 枝野氏は自らも自民党の牧原秀樹氏に追い上げられ、ギリギリの勝利でした。

 ここ数年で枝野氏の票の伸びが鈍化しているところを見ると、今のままでは次回選挙で勝利することは難しいと思います。

 立憲の小沢一郎氏の牙城だった岩手3区で自民党の藤原崇氏が勝利しましたが、80歳近い小沢氏は比例復活しました。これでは立憲も自民党を古いなどと批判できませんね。

 いずれにせよ、立憲はこのタイミングでしっかりと民主党政権時の失敗も含めて総括し、おわびした後に、新たなリーダーへバトンを渡すべきでしょう。

 それによって、与党は緊張感を持つでしょうし、立憲は真の野党第1党になることができるでしょう。

 枝野氏は11月2日、衆院選で議席を減らした責任をとり、党代表を辞任する英断をしました。立憲の次の顔は果たして誰になるのか、半分期待をしつつ、注目したいと思います。

(元衆議院議員 宮崎謙介)