現在も残るヨーロッパ10カ国の王家の系譜とこれから

 ヨーロッパの王家のかなりは、20世紀の2つの世界大戦を経て、消滅してしまった。それでも、ヨーロッパにはいまだ王家(公家)のある国が残されている。イギリス、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、ベルギー、オランダ、スペイン、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン、モナコの10カ国である。

 ただこの先、この10の王家が存続していく保証はどこにもない。人口5000万人規模以上の「大国」で王家が存立しているのはイギリス、スペインのみであり、あとの国では人口が少ないゆえに、王家でまとまっているといったところだ。スペインでは王家の信望がぐらついているし、ベルギーやオランダとて安泰ではない。

 ヨーロッパの王家の場合、いまやたんに王としてあるだけではすまされなくなっている。「国民の王」としていかに愛され、畏敬されるかが、王家の存続にかかっている。それをよく知っているのが、イギリスのエリザベス2世ではないか。1952年にはじまる彼女の時代、イギリスは「大英帝国」の地位から降り、経済苦境に苦しみ、国際的な地位を低下させた。それでもイギリスが踏みとどまり、サッチャー首相の改革以降、回復を遂げてきたのも、エリザベス女王が国民の中心にあったからだろう。

 しかしながら、エリザベス2世のような国王、女王が、今後も登場しつづける保証はない。民主主義がつねに試されるのと同様、王家も試されつづけることになろう。