ドラゴン桜、宇宙兄弟…ヒット作家たちはどのように「観察力」を高めてきたのかありふれた「問い」がもたらすのは「いい観察」であり、「いい観察」を行うことで「仮説」と「問い」を更新させ続けることができる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』『マチネの終わりに』など、幅広いジャンルで数々のヒット作品を送り出してきた編集者である著者・佐渡島庸平氏が本書『観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか』で着目するのは「観察力」だ。ニュートンの「万有引力」をはじめとする歴史に名を残す偉大な発見も、最初はありふれた「問い」から始まった。そのような「問い」をもたらすのは「いい観察」であり、「いい観察」を行うことで「仮説」と「問い」を更新させ続けることができる、と著者は考える。

『観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか』書影『観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか』 佐渡島庸平著 SBクリエイティブ刊  990円(税込)

 本書では、仕事に必要な状態を保つための「観察力」、「いい観察」と「悪い観察」、観察を阻む「認知バイアス」「身体・感情」「コンテクスト」、主観と客観・抽象と具体を行き来しながら「仮説」と「問い」を積み重ねることで生まれてくるオリジナリティ、「見えるもの」と「見えないもの」の観察の仕方、「学び」と「脱学習」で身につける思考法などを再現性の高い形で細かに紹介。『君たちはどう生きるか』の作者・羽賀翔一氏など著者の助言を受けながら実際に「観察力」を鍛えてきたクリエイターたちの実体験も漫画で収録されている。

 名作誕生の背景で作家たちはどのように「観察力」を高めてきたのか?誰もが同じ理想を求めていた「スタンダード」を肯定する社会が終わりを迎え、「多様性」が求められる社会へと移行しつつある現代を生き抜くのに必要な「観察力」をこの一冊で鍛えよう。(藤平泰徳)