資産は、会社が調達したお金を
どのように運用したかを表したもの
林教授 では、次の質問です。以上の他に総資産はA社200億円、B社は60億円だった。では、どちらの会社が利益を生み出す力、つまり収益力が優れていると思いますか。
川村 ちょっと待っていただけますか。利益を生み出す力とか収益力って、なんのことですか。そもそも、なぜここに総資産がでてくるんですか?
林教授 カノンさんは、今のお父さんの疑問についてどう思うかね?
カノン わたしは総資産を考えなくては、本当の収益力は分からないと思います。
川村 おいおい。利益は利益だ。総資産とは関係がない。そんなことすらわかっていないのだから困ったもんだよ…。
林教授 川村さん。あなたの考えはあとでじっくり聞かせてもらいます。今はカノンさんの考えを聞きましょう。カノンさん続けて。
カノン はい。資産は会社が調達したお金をどのように運用したかを表したものです。もちろん、決算日の時点でのスナップショット、静止画にすぎないですけど。
川村 スナップショットね。それで収益力を見るために、なぜ総資産が必要なのかね?
カノン 大切なのは、資産に運用したお金が、いかに効率的に利益を生み出したかという点です。
林教授 つまり?
カノン 総資産利益率(ROA)です。これまでの情報から、A社のROAは0.5%に対して、B社は3.3%(税引き前当期純利益2÷総資産60)と計算できますから、収益力はB社が圧倒的に優っています。
川村 カノン、なぜ資産が重要なんだ。オレにはわからんよ…。
カノン それは、資産がなければ利益は生まれないからです。資産が利益を作っているのです。
川村 へぇー、そういう見方もあるんだ。
林教授 では、最後の質問です。
公認会計士、税理士
明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授
LEC会計大学院 客員教授
1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。