PCR検査が無料で受けられるのは
医師や保健所から認められた場合のみ

 PCR検査と抗原検査について概要と過去の経緯をおさらいしておこう。新型コロナウイルス感染症は、ヒトからヒトへ感染する疾患で、主な感染経路は飛沫感染や接触感染だ。せきやくしゃみ、会話などによって、感染した人から排出されるウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付いた物を触った手で、目や鼻、口を触ったりすることで、感染が広がっていく。

 発症しても、多くは時間の経過とともに症状が治まっていくが、2割程度の人が重症化している。高齢者や基礎疾患のある人が重症化しやすく、そのうちの一部は死に至るケースも報告されている。また、新型コロナウイルスには感染しても症状が出ない人が一定数いるという特徴もあり、無症状の人が気づかぬうちに感染を広げている可能性もある。

 できるだけ感染を拡大させないためには、ウイルスに感染した人を見つけ出し、感染経路を遮断することが重要だ。

 この感染者の特定で必要になるのが、「PCR検査」や「抗原検査」だ。ヒトの体内にウイルスが侵入しているかどうかを調べるもので、検査した時点で感染しているかどうかが分かる。もうひとつよく聞く「抗体検査」は、過去に感染したかどうかを調べるものなので、感染拡大の抑制に効果があるのは、PCR検査や抗原検査のほうだ。

 PCR検査は、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略称で、ウイルスの遺伝子(DNA)の配列を増幅させて検出し、感染症の原因である病原体を同定する手法だ。鼻腔や鼻咽頭のぬぐい液、または唾液を採取して検査する。ウイルス量が少なくても検出が可能で、70~90%程度の感度はあるが、結果が出るまでには1日程度の時間を要する。

 抗原検査は、ヒトの体内にウイルスのタンパク質(抗原)が存在しているかどうか調べる検査で、鼻腔や咽頭のぬぐい液を採取する。検体を採取してから30分程度で結果が判明するが、PCR検査に比べると検出率が劣り、無症状の陽性者を見つけ出すのは難しいとされている。

 どちらの検査も一長一短があり、ウイルスが検出されなくても、100%感染していないと決定づけることはできない。だが、感染者を見つけ出し、感染拡大を抑えるための一つの手段であることは確かだ。