好きな男性とせっかくデートできたのに、体毛が濃くてフラれてしまった。彼の新しい彼女はお肌がツルツルらしい。こんなことなら早く脱毛エステに行っておけばよかった!

 このような広告は、特に思春期の若者には効果があるかもしれない。しかし、商品やサービスを売りつけるために、不安やコンプレックスにわざわざ気づかせるというやり方に、拒否感を抱く人がいるのは当然である。

 特に「太っている」「痩せなければいけない」という「あおり」は、摂食障害など深刻な健康被害につながることがあり、以前からその問題は指摘されている。

人気の女性誌も認識していたはず…それでも難しい時代

 人気の女性誌「ミモレ」が、エイジングについての考え方や不安あおり型広告の弊害を認識していなかったわけはないだろう。実際、文章は加齢をネガティブ一辺倒に捉えたものではなかった。

 それでも批判を浴びたのは、言葉選びと構成が、不安あおり型広告を彷彿とさせてしまった点にあるだろう。この加減は非常に難しいだろうし、反発があった一方で有用な情報だと捉えた人もいるはずだ。

 年齢を重ねても「美しく」ありたいという価値観は、2021年現在の人々の心の中にある。一方で、メディアや広告においては、その価値観をいかに押し付けがましくならずに尊重するかが模索されている状況でもある。「気にしすぎだ」といって反発を切り捨てず、その背景にある時代の空気を読むことが必要だ。