経営環境の変化に柔軟かつ機敏に対応しなければならない今日、それができている役員とできていない役員とでは、一体何が違うのだろうか。一見、対応できている役員は能動性、実行力が高いと思われがちだが、実は能動性も、実行力も高くないほうが柔軟に変化に対応できるといえる。どういうことなのか。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
環境変化に対応する役員は
能動性や実行力が高くない!?
パンデミックによる業績の変動、テレワークやリモート会議による新しい働き方の普及など、経営者は想定をはるかに超えた経営環境の変化に直面している。こうした中、変化に柔軟かつ即時に対応できている役員もいれば、変化に乗り遅れて後手に回ってしまうケースもある。
このように申し上げると、「変化に即応できる役員は、能動性や実行力が高いのではないか」という声を耳にすることが多い。
しかし、筆者は国内外自動車業界をはじめ、製造業界やサービス業界で経営実践力向上のための演習プログラムを実施する中で、分かってきたことがある。
変化に即応できる役員は、能動性や実行力が実は高くないということだ。能動性や実行力が抜きんでて高いわけではなく、ある程度自分自身の能動性や実行力をセーブしたり、コントロールしたりすることができている。一体どういうことなのか。