「人の話を聞く」が売り物の岸田氏だが、耳ばかりでなく、両耳の間にある器官(脳のことだ)も活用する必要がある。そうでないと今後も、今回のように「人から聞いた話に流される」ことが繰り返されるに違いない。

「言うことが変化する人」は、一面では言われたとおりに柔軟に考えを変えるので部下にするには便利な人格かもしれないのだが、「言葉を信用できない人」なので、リーダーとするには全く不向きな性格だ。わが国は適任でない人を首相に選んでしまったようだ。

 性格や資質はさておき、この問題は、おそらく岸田首相が「良いバラマキ政策」の原則と考え方を自分の頭で理解するまで考えていないことに原因があると思われる。

クーポン券に勝る
現金支給「4つの長所」

 岸田首相には、まず、現金給付の長所を理解してほしい。

 クーポン券は、重要ないくつかの点で確実に現金支給に劣る。現金(正確には銀行口座に振り込まれた預金残高)がクーポンに勝るのは、

(1)使途が自由であること
(2)使う時期も自由であること
(3)迅速に配ることが可能なこと
(4)手間とコストが少ないこと

 の4点だ。

 クーポンの使用目的以外に、より良いお金の使い道があった場合、現金給付ならそちらに使うことができる。従って、受け取った側から見た効用は現金が明らかに勝る。例えば、クーポンに対応していない地域での習い事などに子どものためのお金を支出したい家庭もあるだろうが、現金なら役に立つ。