ネットフリックスにとって「代表作」の意味とは

 代表作の役割は大きい。説明いらずのモノ・コト、ヒトがあることは最大の強みになる。ネットフリックスも戦略的に代表作を作り出すことにこだわってきた。日本上陸から4年目で『全裸監督』が生まれるまでの背景も知ると、さらに納得できる。

 そもそも世界でネットフリックスの名を知らしめることができたのも、代表作の力によるところが大きい。2013年に配信開始されたドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』(デヴィッド・フィンチャー、ケヴィン・スペイシーらが製作総指揮)は、テレビ版アカデミー賞とされるアメリカのエミー賞(2013年)でドラマシリーズ部門監督賞など3部門で受賞し、業界に大きなインパクトを与えた。ホワイトハウスの裏で権謀術数をめぐらすパワーゲームの描き方はまさにアメリカ政治のタブーに踏み込んだものだった。その斬新な内容は評価に値するものであることと同時に、テレビ発ではなく、配信発のオリジナル番組に光が当たる時代が始まったことを象徴する出来事となった。

 本国アメリカで『ハウス・オブ・カード』がヒットしたエピソードはいったん横に置き、ここでは話題を日本に戻す。