たとえば、目の前の人が手を回したとします。するとそれを見ている人の脳は、実際に手を回したときと同じ脳の部位が反応して働き出すというものです。親の喜んでいる姿を見て子どももうれしくなってしまうという現象はこのような脳の働きでも説明できます。

 しかも、自分の“できたこと”を子どもに認められるのですから、自然に微笑んでしまうことでしょう。これで、なぜ子どもたちの自己肯定感が上がるかと言うと、「親が喜んでくれた」ということに幸せを感じ、「自分が親の役に立てた」という実感を得ているからです。

 本質的な自己肯定感とは、「ありのままの自分で人の役に立てること」「社会の中で存在価値があると思えること」。親子でコミュニケーションをとりながら楽しむことによって愛着形成につながり、それによって信頼関係が深まります。これは親子双方の精神安定にも効果があります。

 そして子どもにとって、親との関係が基盤となって、人と信頼関係を築く基本となる「承認する力」が育ちます。社会に出たあと、他者との関係性を作る際にも、よい影響を与えていくことでしょう。

 親にとっても、自分自身へはもちろん、わが子を「見る目」が変わります。自然にいい部分ばかり目に入るようになるので、おべっかで「ほめる」必要もありません。このような親の変化により、お子さんはさらにうれしくなっていくことでしょう。

 次回(2022年1月5日公開)は、勉強嫌いの子どものやる気を引き出すために、親が意識すべきことを解説します。