「組織の考えについていくことができない!」
そう言って、会社を離れる人がいる。
「あの執行部の考え方は間違っている!」
こう口にして、労働組合を脱会する人がいる。
組織の論理と自分のポリシーとの狭間で、どのように立ち回るか――。これは、多くの人が頭を悩ますことである。
今回は、「組織の考えと僕の考えは違う!」と主張し、会社はもちろんのこと、労働組合までも敵に回してしまった若手社員を紹介しよう。
あなたの職場にも、このようなタイプの社員はいないだろうか?
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■今回の主人公
井谷 淳(29歳)
勤務先:A自動車機器販売会社。社員数約200人。大手自動車メーカーの関連会社だった販売会社から、10年ほど前に分社化された。営業ノルマが厳しいことでよく知られ、退職者は少なくない。表向きは自発的に辞めたことになっているが、なかには退職を促されて辞表を書いた者もいる。井谷もまた、その1人になりつつある。
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(※この記事は、取材した情報をプライバシー保護の観点から、一部デフォルメしています。)
あの労働組合ユニオンに
“宣戦布告”をする若者
「労働組合◯◯ユニオン」のフロアに、井谷は労働相談のために訪れた。
そして、団体交渉の準備のために書類を作成していた書記長のもとへ、挨拶をすることもなく近寄った。
「あの・・・・・・僕の話を聞いてもらえますか?」
「………」
井谷は、上司から退職を迫られていることを話し始めた。それは話し合いというよりも、一方的に井谷が会社を批判する内容だった。