番組制作側は出演者への十分な配慮を

 一方で、これまで続いてきたテレビ制作のセオリーが時代にそぐわなくなってきている面もあるのだろう。

 フジテレビのリアリティーショー「テラスハウス」に出演していた木村花さんの母、響子さんは、昨年末に弁護団とともに記者会見を開き、フジテレビと制作会社に対して訴訟を起こす考えを明らかにしている。

「テラスハウス」は「台本がない」とうたうリアリティーショーだったが、花さんの死を巡っては、スタッフから指示にあたるような言動があったという証言が報じられており、花さんは生前に「(番組スタッフは)出演者を人間扱いしていない」と話していたという。

 テレビ番組のやらせは昔から幾度も指摘されてきており、近年ではTBSの「クレイジージャーニー」やフジテレビの「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」が、放送倫理・番組向上機構(BPO)の審査で放送倫理違反の決定を受けている。

 番組を盛り上げるためならやらせは仕方ないし、バラエティーでの台本や演出は「やらせ」のうちにも入らない、そう思っている制作者がいまだにいるのではないか。映像を撮る苦労は他業種からは想像しづらい部分があるが、ネット上で攻撃の的になるのは、まず出演者からであるという状況をどう感じているのだろう。

 時代に合わせ変わっていくだけの余力が、制作側にあるといいのだが。