親の同意がなくても
子ども自身が契約可能に

 ポイント1:「子どもが勝手に契約した」のではなくなる

 今回の法律改正で大きなポイントの一つが、成年者は親の同意がなくても契約が成立するということです。民法には「未成年者取消権」という規定があって、子どもが知らないうちにおかしな契約を結んだ場合にそれを取り消すことができます。

 4月になると、大学の新入生を相手に怪しげな商法が展開されるというケースは、もう何十年も繰り返されています。私が大学生の頃は、英会話の教材やら羽毛ふとんやら、せいぜい2万円もあれば買えそうな商品を、24カ月ローンを組ませて40万円ぐらいで販売するような業者が暗躍していました。

 これまでは、これを後から親が気づけば、民法にのっとって契約無効を訴えることができた。社会に無知な新大学生が陥りがちなわなに対して、未成年という規定が一定のセーフガードになっていたわけです。このガードが、今年の4月1日から外れる。これが、親が気をつけておくべき第一のポイントです。

 もちろん悪徳商法の業者は法律の改正とは関係なく、以前から若者を陥れようとあの手この手でやってきているわけですから、これまでと同様に注意が必要という点では変わりないでしょう。

 しかし、それ以上に気をつけるべきは、正当な契約であればもう18歳が行ったことは「子どもが勝手にやったことではなくなる」という点です。

 バイクを買う、アパートを借りるといった契約は18歳が行えば、それは社会の正当な契約として責任を負うべきものとなります。実際問題としては、ローンを組ませて高額な契約を誘う事例が出てきそうです。

 幸いにして(?)最近はこういった商法も低年齢化していて、スマホのアプリ利用の高額請求も小、中学生時点で問題になります。

 いずれにしても、未成年のうちにこういった契約の洗礼を一度経験していれば将来の問題は逆に起きにくくなるかもしれません。

 そういった指導もなく子どもが大学生になり、気づいたら月額5万円を支払って高額の会員制情報商材サロンに入会し、そこで教わったデイトレードにかまけて大学の授業には出かけない。送金した学費も大学に払わないうえに消費者金融で借りた大金までがFXの失敗で失われてしまっている。

 たとえそうなったとしても、4月1日以降の契約はその通り執行されなければならなくなります。

 そういった事態になる前に、親としてはこういったことを18歳になる前に子どもにきちんと教えておく必要がありそうです。