海外と比べるのは日本人の悪いクセ

 それなのに、なぜ自分の自己肯定感の低さを気に病む人が多いのか。それはメディアもいけないのだが、やたら「海外はこうだ。それなのに日本人は……」といった論調が世の中に出回っているからだ。

 たとえば内閣府は、2013年に「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を実施しているが、「私は自分自身に満足している」という項目を肯定する比率は、アメリカ86.0%、イギリス83.1%、ドイツ80.9%、フランス82.7%など欧米諸国は8割を超えているのに対して、日本は45.8%と極めて低く、半分に近い比率にすぎない。

 同じ内容の調査を2018年にも実施しているが、「私は自分自身に満足している」という項目を肯定する比率は、アメリカ86.9%、イギリス80.0%、ドイツ81.8%、フランス85.8%と欧米諸国は前回同様8割を超えているのに対して、日本は45.1%と相変わらず極めて低く、欧米諸国の半分に近い比率になっている。

 さらに、内閣府が2019年に実施した「子供・若者の意識に関する調査」には、「いまの自分に満足している」という項目があるが、これを肯定する比率は40.8%にすぎず、6割が今の自分に満足していないことになる。

 このようなデータを引き合いに出して、「日本人も欧米並みに自己肯定感を高めなければならない」などと思ってしまう。そして、褒める教育を推奨するなどさまざまな試みが行われているにもかかわらず、欧米との歴然とした差は一向に縮まる気配がない。