自己肯定感が高まる生き方とは

榎本博明『自己肯定感という呪縛』青春出版社榎本博明『自己肯定感という呪縛』青春出版社

 そもそも人を成長に導く自己肯定感というのは、あからさまに自己肯定する欧米式のものだけではない。謙虚に振る舞い、不安を感じながら、今の自分を乗り越えようと努力する。そんな姿勢が、私たちにとっての本当の自己肯定感につながっていくのではないか。

 トップアスリートのインタビューを見れば分かるように、いくら成果を出し、称賛されたところで、不安は消えず、新たな課題が次々に浮上する。そんな不安を払拭すべく課題に取り組むことで力がつき、じわじわと自己効力感が培われていく。スポーツでなく仕事でも同じだ。褒められるとすぐ喜び、自己肯定感に酔っているような人が、最終的な成功者になるのはまれなことではないだろうか。

 こうしてみると、自己肯定感を高めよう、そのためにはこうしよう、といった言葉に安易に乗せられるのは危険だと分かるはずだ。現状を単に肯定すればいいとか、今の自分に満足すべきというようなことではないのである。

 大切なのは、今目の前にある課題に没頭すること。そうしているうちに、本当の自己肯定感を適度に感じられるようになっていくはずだ。