筆者はこの2人と2020年に、引き出し屋被害に遭う「ひきこもり家族」を取り上げたNHKの「首都圏情報サキドリ!」で共演したことがあった。高橋さんに対しては「ひきこもり」についてよく勉強していて感心させられたし、山田ルイ53世さんも「ひきこもり」関係の番組に出演するたびに経験者としての知見がブラッシュアップされている感じがした。

 従来の専門家色が強かった「ひきこもり支援」事業とは違い、厚労省らしからぬラインナップのイベントに、事前に問い合わせた報道陣から「これは本当に厚労省主催のイベントなのか?」と確認を求められたという。

山田ルイ53世さんが
6年間ひきこもったきっかけとは?

 16日のセッション1で開催されたのは、2月13日にラジオ放送されるFMスペシャル番組「ひきこもりVOICE STATION」の公開収録。番組のパーソナリティを務める高橋さんが司会進行を務めた。

 高橋さんは、「皆さんの話を聞いていると、人生の岐路や人間関係、家族のことで、ひきこもりは誰しも起こり得ること」だと説明。中学2年生から6年ほどひきこもりをしていたという山田ルイ53世さんも「ひきこもりや不登校になる理由は、人それぞれ」だと語った。その上で、「ベッドで寝ていたときに、部屋に来た親父からドロップキックされて、これで学校を休めるという免罪符を得た気持ちになり、6年間ひきこもったんです」と明かした。

 内閣府の調査によると、ひきこもる人の数は全国で約115万4000人と推計されている。高橋さんが言うように、何歳からでも誰でもひきこもる可能性があるわけで、特別な人の話ではない。一方で、ひきこもる要因も状態も多様で一人一人違う。つまり、全国に115万人がひきこもっているとすれば、115万通りの生きてきた歴史や生きづらさ、しんどさ、困りごとがそれぞれあるといえる。