お宮参りで健康を願うイラスト/さとうただし 拡大画像表示

 誕生から7日目の行事・お七夜では、父親からは武士の魂である刀や産着などが贈られるのが定番だった。約一カ月後のお宮参りは今でもみられる行事だ。百日目にはお食い初めの行事となる。

 5歳になると、袴着の行事が執り行われる。初めて袴を着ける儀式であり、子供を吉の方向に向けて碁盤の上に立たせ、左の足から袴をはかせた。武士の場合、外出時や人に対面する時は袴を着用するのが習いであったことから、その練習をさせたのである。袴を着用し始めた時から、腰には刀を差すようになる。

お食い初めのお祝いイラスト/さとうただし 拡大画像表示

 15歳くらいになると元服の儀式が執り行われる。もともとは公家が初めて冠を被る儀式であり、髪を結って冠を被る加冠の儀と称された。武士の場合は前髪を落とし月代を剃って髷を結う儀式だったが、その役を担った者は烏帽子親と呼ばれ、後見人のような役割を担うことになるのが通例である。

師のもとで勉学に励むイラスト/さとうただし 拡大画像表示

 元服に伴い、名前も変更となる。幼名から実名(諱という)に改めたが、実名で呼ばれることはほとんどなく、普段はもう一つの名前である通称で呼ばれた。例えば、坂本龍馬の諱は直柔だが、通称の龍馬で呼ばれるのが通例だった。なお、元服は吉日が選ばれたが、年の初めの正月の吉日に執り行われることが多かった。