いまだに若手扱いされて
実力を評価されていないと感じたら?

 日本語に「若手」という言葉があります。

 若手とは何歳のことでしょうか。20代のことでしょうか。先ごろ総理大臣になった岸田さんが登用した自民党総務会長の福田さんは、54歳でした。

 私が所属していた会社がIBMに買収されたときに、もともと所属していたコンサルティング会社で使われていた「若手」という言葉のイメージとIBMでのイメージが15歳ほどずれていたときは、驚きました。高齢化していたIBMで、かなり長い間、宴会の割り勘も“若手”カテゴリーで優遇されていたのですが、40代半ばでスタートアップに移動したときには、突然前期高齢者扱いになり、そのギャップにまた再び驚いたのでした。

 実は「若手」という言葉には何歳まで、という年齢の定義はなく、ある集団の中で相対的に若い人たちを指します。シンプルに年齢での若さを指すこともありますし、時には羨望や期待を込めて、また時には上から目線で使われることがあります。

 一方、当事者が一人称的に「我々若手」などと使うときは、権限がないことに対する不満の文脈で使うこともあれば、責任逃れの文脈で使われることもあります。

 もしあなたが「若手」扱いされることに違和感や不満を持っているのであれば、自分の成長スピードと周りの評価が一致しないということですから、成長の始まりだと解釈して良いでしょう。

 そして、スキルを磨き成長し成果をあげて、自分への評価を変える、というサイクルを回し続けることで、実力に見合った評判を獲得していくことになります。

「まだこれからの若手」から「次代を担う若手」になり、いつか「若手」のレッテルが使われなくなるのです。

 ここでも気をつけたのは、追いかけるものと付いてくるものを間違えないこと。

 ビジネスにおいてあなたの価値を決めるのは、何度も言いますが、お客様からの評価です。

 お金という対価を払ってくれるお客様は、多くの場合あなたがもたらす仕事の価値で評価しています。相対的な年齢で判断することはありません。

 ですからたとえ、自分が所属組織内で不当に“若手”扱いされており、実力を評価されていないと感じたとしても、やるべきことはプロとしてお客様のために価値を追求することです。

 あなたが所属する組織がコーポレート部門や非営利の組織であったとしても、本来価値を提供するべき対象の“お客様”は特定できるでしょう。

 決して組織の中でのポジションや、評価だけを追いかけてはいけません。

 しかし、この誘惑は逆らいがたいものです。かつての自分自身にも当てはまりますし、私の周りでも未来ある“若手”が、功を焦るあまり順番を間違えて遠回りをするケースを目にします。

 そして、難しいのは、自分で気がつくしか対処方法がないところです。功を焦る“若手”は、聞く耳を持ちにくいものなのです。

 もし、ほんの少しでも「もしかして」と感じるところがあれば、日々の自分の行動を振り返ってみませんか。